おつむへんてこ、へんてこおつむ


「さて」
「何でしょう?」
「歴史の授業を始めます」
「了解です」
「今日はちょこっと特別なことをします」
「どんなことですか?」
「まず質問。あなたは日本で一番偉い都道府県をどこだと思いますか?」
「ええーっ!そんなのいきなり訊かれても・・・東京ですか?」
「違います」
「じゃあ、京都?奈良?」
「いいえ」
「ええーっ!そんなのわかんないですぅ〜、これってとんちですか?」
「いいえ、真面目な質問です。もっともっとおつむやわらかに、やわらかに考えてみて下さい」
「そんなこと言われても・・・」
「じゃあ答えを言いましょう」
「はい」
「滋賀です」
「?」
「滋賀です」
「へ?」
「だからぁ〜、しぃーがっ!・・・近江、滋賀です」
「え〜でも・・・納得できないなぁ〜〜〜〜本当ですか?」
「本当ですよ」
「理由は?」
「理由?理由知りたい?」
「はい」
「なら教えてあげましょう。小宇宙、それは滋賀。宿命の聖地とはこれ、滋賀のこと。滋賀とは、あらゆる道の始まる「日本で最も奥深い地」なのです。司馬遼太郎は言いました。「近江から始めましょう」と。無・無限・無重力・無色透明・無味無臭加えて謎・夢幻、奥深さにおいては滋賀=ぶっちぎりNo.1!!・・・なのです」
「おつむがおつむが、ぼくのおつむがぁ〜〜〜〜っ」
「爆発しそう?」
「はい」
「でもまだ爆発してはイケマセン」
「なぜ?」
「爆発するには早すぎる」
「謎掛けですか?」
「いや」
「では何?」
「仕掛けです。今日の特別講義には仕掛けがあります。その仕掛けを明らかにする前に、「滋賀の仕掛け」を解明してゆきましょう」
「はい」
「少しずつ始めましょう、ソクラテス風に」
「ソクラテスって何ですか?」
「わからなければよろしい、始めます。滋賀は「小宇宙」であると言われます。南北東西気候が全く異なるため、極めて多彩な風土的条件が錯綜していて、そこに住む人々の気質も多岐に亘ります。そのため「日本で最も奥深い地」となり得たのでした」
「はぁ」
「キーワードは「宿命」です。北条氏の集団自害により鎌倉幕府が滅亡したのは米原だったり、足利将軍の逃げ場所兼死に場所でもあり・・・彼らは何度も近江に仮政府を置いたそうですよ。また大坂で死んだ芭蕉、ロンドンで死んだフェノロサ、彼らの墓は遺言によって大津にあります。物事に通じた人は凡人とは眼力が違うようです」
「ふうん」
「アマテラス(伊勢)やオオクニヌシ(出雲)のルーツであるイザナギ・イザナミは近江で死んで多賀大社に祀られていますが、なぜか目立たない。重要文化財数(国宝含む)は東京・京都・奈良に次いで四位ですが、これもその割に目立たない。辺鄙な場所にあったりして。そして、よりによって石造美術(←地味)は日本一だったりします。また、日本史上の二大英雄(天智・信長)が首都としたけれど、すぐに消えた。天下分け目の二大決戦(壬申・関ヶ原)を戦ったけれど、負けちゃった。東京・大阪・京都・奈良に多大な影響を与えてるけれど、知られてない。これらを考え合わせると、「宿命」という文字が見えてきます」
「あっそ」
「京都が日本文化の表を支配していると言えるなら、滋賀は裏を支配していると言えるでしょう。このことをこれから証明していきます。京都と滋賀はいわば「イスカンダル−ガミラス」のような相互支配関係にあるのですよ。「米−日」のように見えるのは表面だけ。錯覚ですね」
「それはそれでいいですけど・・・でもやっぱり首都が一番偉いと思いま〜す」
「ふん、ではちょっとものさしの価値について考えましょう」
「はい」
「「首都が一番偉い」というものさしで測るなら、東京が一番偉いことになるでしょうね。但し、時間固定或いは時間制限という条件付きですけれど。でも「何が偉いか」というのは価値判断ですから、正しいものさしというのはないわけです。だから私がすべきことは「ほら、ものさし変えたらこんな風に見えてきたよ〜」って感じで今までは見えていなかった「物事のかたち」を明らかにし、あなたにに「新しい気づき」を与えることなのです。で、その気づきをどう処理するかはお任せ。価値観を押しつけることはできないから」
「うん」
「首都ということで言うなら、京都はもちろん、滋賀もかつては首都でした。
日本史上に燦然と輝く二大英雄!大化の改新を成して天皇家の礎を築いた中大兄皇子こと天智天皇の大津京、天下統一に驀進した天才武将織田信長の安土城、でもこれらはあっという間に消えて無くなりました。幻の都、幻の城伝説の誕生です!宿命ですね!!」
「・・・・」
「近江は特定の色に染まることを好みません。裏という宿命を負った近江を表に出そうとして神々の怒りを買い、英雄たちは抹殺されてしまいました…」
「うるうる・・」
「悲しいですか?」
「まあ・・・ところで滋賀って田舎では?」
「私が思うに「都会→偉い」と思う人は「I LOVE NY」ってロゴの入ったTシャツ毎日着てればいいのです。というか、メジャーなものが好きなら日本にいること自体マチガイです。だって世界的に見ればマイナーですから、日本。局所的な人口密度は高いけど」
「そんなもんですか?」
「そんなもんです。田舎の価値を認めることこそが日本人がオトナになるための第一歩である!!!」
「お元気で何より」
「で、想像してみて下さい。日本文化発祥の地と主張できる地域が滋賀の他にあるでしょうか?江戸の町作りしたのも、京都・大阪を発展させたのも滋賀ですからね!君が代も忍者も大仏も城も!時計も戸籍も律令も!招き猫も福助も!源氏物語も!近江から生まれました。芭蕉が開眼したのも一休が大悟したのも近江!家光を産んだのは淀殿の妹!明正天皇を産んだのはその娘!光圀を育てたのも近江の女!・・・まあ他の具体例は後ほどってことで、ひとまず白州正子の言葉を引用してみると・・「近江は日本の楽屋裏だ」「日本文化の発祥の地と言っても過言ではない」「ほんとうに近江は広い。底知れぬ秘密に埋もれている」」
「てゆうか、江戸?大阪?どういうこと?」
「あとで話します。とりあえず近江商人について。大阪商人の源流となった近江商人ですが、社会のためになる商売でなければならないという美学があったそうです。金儲け最優先なんてもってのほか。軽蔑の対象です」
「偉いですね〜」
「大阪はひとまず置いといて「どう見ても滋賀」な企業だけを挙げてみますと、びわこブルーの西武&セゾングループ(西友・PARCO・プリンスホテル他含む)、東急(元白木屋)、大丸(元大文字屋)、高島屋、丸紅、伊藤忠、三井の一部、ヤンマーディーゼル、グンゼ、ワコール、東洋レーヨン(東レ)、東邦レーヨン、東洋紡、日清紡、ふとんの西川、日野薬品、沖電気、凸版印刷、大建工業、島津製作所、オーエムシー、菱一、京樽、リカーマウンテン、日本旅行、日本生命保険、日本電気硝子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「日本の資本主義は近江商人から始まった」とは堺屋太一の言葉です」
「すごいなぁ〜」
「トヨタもホンダも、近江人によって今があります。このことは三井住友銀行、みずほ銀行にも言えます」
「へぇ〜〜〜っ」
「グリコ森永事件の犯人を逃がしてあげたのは滋賀県警です」
「それはちょっと・・・」
「この辺で滋賀と東京・大阪・京都・奈良との関係などなどについて述べたプリントを配ります。はいどうぞ」
「あっどうも」

●滋賀と奈良
藤原京や平城京、東大寺(←前身は近江甲賀寺)など南都七寺は田上山の木で作らた。おかげで山は「人工アルプス」つまり禿山となり、土砂を流して大阪平野を広げた。オランダ人技師デ・レーケが何とか食い止めたけど。ちなみに日本最古のサイコな王朝・高天原が近江にあった可能性は日を追うごとに高まっており、弥生時代から古墳時代へと大和を中心に発展していったと考える“大和中心史観”の見直しはとっくの昔に始められている。
●滋賀と京都
比叡山延暦寺は京都をマジカル的に守るためのものである(名僧続出例:円仁、円珍、良源、源信、法然、親鸞、栄西、道元、日蓮、慈円)。加えて瀬田の唐橋・逢坂の関は京都の防衛線。近江はずっと東国から京の都を守ってきた。戦後京都が衰退したときも、琵琶湖疎水によって復興させた(竣工式のときの京都の喜びようは前代未聞。大文字はともるわ祇園の鉾は出るわでそりゃもう大騒ぎ)。
伏見の酒・京漬け物・京扇子・京友禅・京仏壇など京都の名産の多くは滋賀原産で、滋賀で作った物をちょこっと加工して「京」をつけて売っている。その方が俗人にウケルから。
●滋賀と大阪
秀吉に近江でキャリアを積ませ、大坂へゆかせた。淀殿は近江の姫。
もちろん、近江商人は大阪商人の源流。
住友家の初代総理事広瀬宰平は大阪商船会社(現商船三井)・大阪堂島米商会所・大阪商法会議所(現大阪商工会議所)・大阪株式取引所等を、二代目総理事伊庭貞剛は大阪商業学校、大阪紡績会社、住友銀行等を設立し、共に大阪の経済的発展に努め、近代化を促進した。
●滋賀と東京
江戸の築城と都市計画は家康と藤堂高虎(近江出身、城づくりの名人、服部半蔵の縁者、伊賀忍者を掌握)と南光坊天海(比叡山の僧、密教・神道・陰陽道に通じ、光秀と同一人物であるとの噂も)によって進められた。日光東照宮を建てたのも高虎と天海。特に天海は様々な技を使って江戸を「マジカル風水都市」に仕立て上げた。
少し例を挙げると、一大芸術文化発信基地上野公園、あそこは「滋賀な箱庭」ってことになっている。天海が江戸城の鬼門にある上野の山に比叡山延暦寺のつもりで東叡山寛永寺を建立し、不忍池に竹生島のつもりで人工島を作って弁天を祀り、琵琶湖を模したのである。また江戸城守護第一社日枝(ひえ→比叡)神社の例祭は大江戸三大祭りの一つ山王祭だが、全国の山王さんの総本宮は比叡山の麓の日吉大社。ちなみに日吉東照宮は日光東照宮の原型。

滋賀の世界遺産は二つ。比叡山と日光山☆

○滋賀と日本の城
江戸城、名古屋城、伏見城、大阪城、高槻城、津城、伊賀上野城、膳所城、丹波篠山城、和歌山城、亀山城、大洲城、今治城、宇和島(鶴島)城など、高虎は実に多くの城を手がけた。近江の石工集団穴太衆が安土はじめ彦根、伏見、姫路、江戸、篠山、名古屋、大坂、広島、高知、金沢、但馬竹田他の各城の普請に関わったことを考え合わせると、芸術的とも言える日本の城の造形は近江人の手によるものであったとわかる。

「これって、本当のことですか?」
「もちろんです。「宿命」に続く第二のキーワードは「天」です」
「天?」
「大体ですね、恩を忘れてるんじゃないの?ゆうことです。近江は奈良を作り、江戸を作り、京都を守り続けただけでなく復興までさせて特産品を供給し、秀吉にキャリアを積ませて淀殿とセットにして大阪へゆかせ、さらに商人まで送り込んで経済を発展させました。いわば彼らの親に当たります。発祥地は目立たなくて当たり前。それをですね、お調子に乗って「何か勘違いしてる甘えた子供」のように彼らが滋賀を軽く見るようなことがあるならば、余りにも情けないことです」
「うーん・・・」
「東京人・大阪人・京都人が忘恩の徒となり滋賀を軽視するならば、その行いは天に唾するに等しい愚行である!!!」
「ああっ・・・」
「滋賀が本気になったら大阪湾くらいかる〜く埋めちゃいますから、ほんとに。大阪は四国に編入されるでしょう。また水を止めちゃうのも面白いだろうし、京都から特産品を消し去るのもこれまた一興。東京にはノドンでも撃ち込みましょう。びわこ釣り仲間ののむひょん君動かして・・・」
「・・・・・」
「古都と首都の芸術文化発信基地、岡崎公園と上野公園、これらが共に滋賀風な装いなのも、これまた一つの得も言われぬ摩訶不思議な現象でありましょう」
「・・・・・」
「札幌・函館・小樽を開いたのは近江商人!芦屋を開いたのも!それどころか、滋賀はソビエト成立にも関わっています!大津事件っ!ニコライっ!」
「・・・・・」
「まあ別にね、ことさら滋賀の優位性を強調して威張ってやろうというわけでもないんです。そんなことしてもつまんないし。ただね、都会の人間がとち狂って滋賀に言いがかりをつけようものなら、そっちがその気なら、いつでもあなた方をギャフンと言わせてあげますよ〜いいですか?ってことなんです。この公開授業が都会人、特に東京・大阪・京都中心部の一部の人間の浅薄な虚栄心・間の抜けた自尊心の抑止力になり、滋賀の京都コンプレックスの完全除去に貢献できるなら。私は幸せです」
「先生の出身はどこですか?」
「忘れました」
「抑止力って言ったらあれですよね」
「そうですね、あれですね」
「あれは大丈夫なんでしょうか?」
「どうでしょう?わかりません」
「どうなんだろう・・・」
「ところで私の感覚では最近?活躍の滋賀出身者は「まぬけ・おかま・天才・ケダモノ」に大別される気がするのです。どこへ行っても琵琶湖がある→頭がへんてこになる→へんてこな人間を輩出する、という構図。例を挙げるなら、指三本の宇野soスケ元首相(超短命シックスナイン天下)、ムーミンパパの武村正義(さきがけ沈没)、田原so一郎(ムチャクチャ司会者)、なんでだろう♪のテツ、TMR(別名レボレボ、デカイ顔の変人、は虫類系)、L’Arcの一部(ギターとベース)、Gackt(愚か者)、伊達公子、武豊、問題ばかり起こしてる橘高セ・リーグ審判員、団鬼六、姫野カオルコエトセトラエトセトラ・・・」
「ウオーッ!」
「滋賀に関わると頭がへんてこになる好例の一つが滋賀に対する思い入れの強い沢口靖子です。タンスにゴンゴンのCM見ましたか?あれが滋賀効果なのですよっ!」
「ウギャーッ!」
「へんてこでなければ滋賀県民とは言えない」
「オギャァァ〜〜ッ!?」
「ああもう止まらなくなってきました。誰かどこかに私を抑止できる人はいませんか?」
「どーん」
「何ですか?」
「どよ〜ん」
「どうかしました?」
「ノドン、テポドン、どんどんどん、多々ある脅威にタタタタタ・・・」
「がびぃ〜〜ん」
「タタタタタ・・・」
「どびぃ〜〜ん」

 ボン!

 そのとき何かがはじけ、世界は灰燼に化した、のかも知れなく、それと同時に、しょーもな〜いプライドや、そんなのから生まれる偏見・差別・争いなども、全てが消滅したのかも、知れなかった・・・メデタシメデタシ・・・・・・なのかしら???