今回の爆発は4パターンにてお届けします。
ばくだんばくはつ
ここは3作品、爆弾を爆発させたもの、爆発させようとして思いとどまったもの、爆弾と見せかけてそうではなかったもの、と三者三様ながらも、ともに読者に対して謎かけをしているように見えるのが不思議な共通点です。
まず「約束」。
はじめは少し昔の日本のような気分で読んでいって、レンガ造りの校舎に「あれ?」と戸惑い、「ファティマ」で「あれあれ」と面くらい、「イスラエル兵のジープ」で「あ、そうか」と少しずつ異世界の深部へ誘い込まれてゆくような運びが工夫されてるなと思いました。
その、いわば「騙し方」のテクニックに読者が酔えなかったのは、やはり題材の重さでしょうね。たとえば現代風に書き始めて、だんだん桃太郎とわかる、というような現実の重みと無縁な遊戯なら、この仕掛けも活きたのにと思ったりしています。
爆発しなかったので「約束」よりは読後感がよいのが「彼の心、煉獄の中で」です。
テロリストが死の間際に見た成功の幻影といったところでしょうか。これも途中まで、みごとにふっとんだ首相官邸の姿をなまなましく見せながら、じつは……と騙してくれました。
「朝月新聞」とか「和泉首相」とか「白民党」とか表現をずらさないほうが、ホンモノっぽくて、より迫力が備わったのではないかなあと思ったりしますが。
3つめは「私は名探偵」です。「少女漫画風味」(唐紅さんコメント)のおかげで、私にはいちばん親しめた作品でした。
でもって謎解き。怪盗ジョーカー=助手のワトソン君=貴子さんの愛犬、なのでは?
「すばしっこさと根性」で「換気用の小窓」から忍び込み、「教卓の下まで隅々を調べ尽くし」、ラスト「尻尾を巻いて」「襟首をつかまえ」られてるので。科白をしゃべってるのは「漫画風味」なので、犬でもありでしょう。
ずばり、唐紅作品はこれだ!
きれいなばくはつ
ここも3作品、いや2.5作品か。いずれも唐紅さんが不得手とされる「詩才」風味です。
まずは「春の息吹」。
描かれているのは梅かな、桜かな。ふわぁ、とぴいこさんらしいはかなさで、お題からは遠いけれど、はんなりと春を感じさせていただきました。
今ごろ、みやびやかな古都の若葉路を散策しておられる頃でしょうか。
言葉のきれいさで、ぴいこ姫の上を行った感があるのが「vital. -blast wave-」でした。
「白くて、きらきらしたもの」「堅くて、灰色のもの」のそれぞれが、具体的に何を指しているのかを解いてゆく営みは、たぶんあまり意味がないのでしょうね。まるごと受けとって、自由にイメージをふくらませてくれればという手渡しかたなのでしょう。
ありがちの青春メッセージね、と読み飛ばすには惜しい言葉の勁(つよ)さのようなものを感じたのですが、でも、どうしても意味を求めたくなってしまうのは、因果な我が性です。
labeled_rabbitさん、前回からのご参加のようですが、よろしければ作者さんとしての声をどうぞお聞かせくださいませ。
きれいなものとばかりは言えないのが「ザ・ロード」。菊の花からバカヤローまで、あれこれ並べていただきました。
爆発しようと煽動したり、やめてっと止めたり、なかなか忙しいですね。
口調から、らいむさんかなあ、と思ったのですが。
ばっちいばくはつ
あんまり触れたくないなあ。2作品です。
「大発生」
謎かけされて、謎のまま終わってしまって中途半端な気分です。
蜘蛛の大発生の気色悪さは伝わってくるのですが。
「避けるべき爆発」
避けて欲しかったです。
ね? ちるだ〜さん。
分量ばくはつ
1粒だけれど10粒分? の「おつむへんてこ、へんてこおつむ」です。
おつかれさまでした。近江を題材とした長広舌と言えば、かの大長編時代小説『大菩薩峠』の中に近江商人論を展開したものが、たしかあったような、なんてことを思い出しながら読みました。
プリント配布の書き言葉部分はリズムを崩してしまっているようで、なくもがなと思いましたが、あとは講釈をえんえん垂れ流す怒濤のトーク、うまく再現されていて、バカだなあと笑いながらも強引に引き込まれます。
でもって、何人かの読者さんがやはり強引に引き込まれてくださったようで、めでたしめでたし。
初の首位、おめでとうございました!!